【衝撃】アイズオンユー映画の実話がヤバい|知ってから観ると怖さ倍増

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「アイズ・オン・ユー」って実話なの?

この疑問を持ってこの記事に辿り着いたあなたに、結論から伝える。

実話だ。しかも、映画より現実のほうが恐ろしい。

1978年、アメリカの人気テレビ番組「ザ・デートゲーム」。画面に映る爽やかな笑顔の男を、スタジオにいた全員が信じた。女性出演者も、司会者も、何百万人の視聴者も。

その男は、すでに複数の女性を殺害していた連続殺人犯だった。

Netflix映画『アイズ・オン・ユー』(原題:Woman of the Hour)は、この信じがたい実話を基にした作品だ。監督・主演はアナ・ケンドリック。『ピッチ・パーフェクト』で知られるあの彼女が、長編初監督に選んだのが連続殺人犯のスリラーだという事実にまず驚く。

この記事では、元になった実際の事件、映画のどこが実話でどこがフィクションか、そしてアナ・ケンドリックがこの映画を撮った本当の理由まで掘り下げる。

断言する。この記事を読んでから映画を観ると、恐怖の質がまるで変わる。

『アイズ・オン・ユー』は実話|連続殺人犯がテレビに出ていた信じられない現実

最初にはっきりさせておく。

映画『アイズ・オン・ユー』は、実在の連続殺人犯ロドニー・アルカラが、犯行を繰り返している最中にテレビのデート番組に出演したという嘘みたいな本当の話がベースだ。

1978年9月13日。アメリカの人気番組「ザ・デートゲーム」に、ひとりの男が出演した。巧みな話術と魅力的な笑顔。番組スタッフも、司会者ジム・ランジも、女性出演者も──誰一人として、画面の向こうの何百万人の視聴者も、この男の正体に気づかなかった。

これが「デートゲーム・キラー」事件だ。

ハイド
ハイド

え、ガチの殺人犯がテレビのデート番組に出てたの!?それ映画の演出じゃなくて?

ジョニー
ジョニー

演出じゃない、事実だ。当時の映像も残ってる。しかもこの男、FBIの「最重要指名手配10人」に載ったことすらあるんだよ。それなのに堂々とテレビに出てたんだ。

ロドニー・アルカラとは何者か──「デートゲーム・キラー」の正体

ロドニー・ジェームス・アルカラ(本名:Rodrigo Jacques Alcala-Buquor)。1943年8月23日、テキサス州サンアントニオ生まれ。2021年7月24日、カリフォルニア州の病院にて死刑囚のまま自然死。享年77歳。

この男がどれほど危険だったか。数字だけで十分伝わる。

  • IQ:135〜170(1964年の軍の精神科医評価では135。後の鑑定では160以上との評価も。天才レベルの知能)
  • 確認された殺人:7〜9件(カリフォルニア州5件+ニューヨーク州2件。ワイオミング州を含め9件とする資料もあり)
  • 推定される被害者数:最大130人
  • 発見された写真:2,000枚以上(シアトルの貸し倉庫から発見。被害者と思われる女性・少年の写真。2010年の裁判中に100枚以上が公開され、身元確認が呼びかけられた)
  • 犯行期間:1968年〜1979年
  • デートゲーム出演:1978年9月13日(殺人を繰り返している真っ最中)
  • 死刑判決:3回(1980年・1986年・2010年。ロビン・サムソー殺害で3度有罪判決)
  • ニューヨーク州追加有罪:2013年(コーネリア・クリリー殺害、エレン・ホーヴァー殺害の2件)

犯行手口は凶悪という表現すら生ぬるい。アルカラは被害者の首を絞めて意識を失わせ、蘇生させてからもう一度絞める。これを何度も繰り返した末に殺害した。検察の調書にあるこの記述を読んだとき、文字を追う目が止まった。何度読み返しても、人間のやることとは思えなかった。

だが、アルカラにはもうひとつの顔があった。天才的な知能と、カリスマ的な魅力だ。UCLA美術学部を卒業し、ニューヨーク大学にも偽名「John Berger」で在籍していた知識人。プロの写真家を装って「モデルにならないか」と女性に声をかけ、警戒心を解いていく手口は巧妙そのものだった。

番組で一緒に出演したバチェラー2番のジェド・ミルズは、後に『となりのサインフェルド』等にも出演した俳優だ。彼はアルカラについてこう回想している。「人生で出会った中で一番不気味な男だった」。そして楽屋でアルカラがこう言ったという──「俺はいつも女を手に入れる(I always get my girl)」

シアトルの貸し倉庫から見つかった2,000枚以上の写真。そこには女性や10代の少年が映っていた。多くが性的に露骨なポーズを取らされていた。2010年の裁判で100枚以上が公開され、「この人物を知りませんか」と身元確認が呼びかけられた。──だが残りの大部分は、あまりに猥褻すぎて公開できなかったという。

そんな男が、テレビカメラの前でも魅力を遺憾なく発揮した。デートゲームでの紹介文は「成功した写真家で、撮影の合間にスカイダイビングやバイクを楽しんでいる」。完璧な「感じのいい男」だった。だからこそ恐ろしい。

事件被害者場所
1968年8歳少女への暴行タリ・シャピロロサンゼルス
1971年絞殺コーネリア・クリリー(23歳)ニューヨーク
1977年7月殺害エレン・ジェーン・ホーヴァー(23歳)ニューヨーク
1977年11月殺害・遺棄ジル・テリー・バーコム(18歳)ロサンゼルス近郊
1977年12月殺害ジョージア・ウィクステッド(27歳)マリブ
1978年6月絞殺シャーロット・ラムエルセグンド
1978年9月「ザ・デートゲーム」出演(被害なし)ロサンゼルス
1979年6月殺害ジル・パレンテュー(21歳)バーバンク
1979年7月誘拐・殺害ロビン・サムソー(12歳)ハンティントンビーチ
1979年暴行→脱出→逮捕モニーク・ホイト(15歳)リバーサイド郡

なぜ連続殺人犯がテレビ番組に出演できたのか

この事件で最も信じがたい部分がここだ。

1978年にアルカラが「ザ・デートゲーム」に出演した時点で、彼にはすでに性犯罪での逮捕歴があった。1968年には8歳の少女タリ・シャピロへの暴行で逮捕。その後FBIの「最重要指名手配犯10人(Ten Most Wanted)」にリストアップされた時期すらある。

逮捕の経緯も異常だ。アルカラはカリフォルニアから逃走し、偽名「John Berger」でニューヨーク大学に通い、その後ニューハンプシャー州の児童向けアートキャンプ「Camp New Beginnings」でカウンセラーとして勤務していた。子どもを預かるキャンプに、性犯罪者が偽名で紛れ込んでいたんだ。逮捕のきっかけは、2人のキャンパーが郵便局に貼られたFBI指名手配ポスターでアルカラの顔を発見したことだった。子どもが犯人を見つけたという、皮肉すぎる結末。

にもかかわらず、デートゲームの制作側はまともな身元調査を行わなかった。

1970年代のアメリカには、今のようなデータベースもインターネットもない。州を跨げば犯罪歴の照会すら困難な時代だった。そして何より、性犯罪に対する社会の認識が今とは根本的に違う。女性が「あの男は危険だ」と訴えても、「考えすぎだ」「あなたにも落ち度があったのでは」と片付けられる──そういう時代だったんだ。

結果、連続殺人犯は堂々とカメラの前に立ち、何百万人の視聴者に笑顔を振りまいた。

この「構造的な恐怖」こそ、映画『アイズ・オン・ユー』が本当に描きたかったものだ。犯人ひとりの異常性よりも、それを野放しにした社会の歪みのほうがよほど恐ろしい。あなたもそう思わないか?

映画『アイズ・オン・ユー』のあらすじ──ネタバレなしで紹介

ここからは映画の中身に触れるが、核心的なネタバレは避ける。「実話を知った上で観る」ための予備知識として読んでほしい。

舞台は1970年代のロサンゼルス。女優を目指すシェリル(アナ・ケンドリック)は、なかなか芽が出ない日々を送っていた。キャリアの突破口になればと、テレビのデート番組「ザ・デートゲーム」への出演を引き受ける。

気乗りしないままステージに立ったシェリルだったが、カメラが回り始めると予想外に場を盛り上げてしまう。壁の向こうに座る3人の男性候補の中から、ひとりを選ぶ瞬間がやってくる。

彼女が選んだのは──連続殺人犯ロドニー・アルカラだった。

収録後、シェリルはアルカラに対して言葉にできない「違和感」を覚える。何がおかしいのか説明できない。でも身体の奥深くで、何かが警報を鳴らしている──。

映画はこの「違和感」を軸に、1970年代アメリカ社会の暗部を浮かび上がらせていく。女性の直感が軽んじられる社会。被害者の声が届かないシステム。その隙間を悠然と歩く殺人犯。

この先は、あなた自身の目で確かめてくれ。ひとつだけ言うなら、ラスト15分は画面から目を離せなくなる

映画の基本情報

タイトル:アイズ・オン・ユー(原題:Woman of the Hour)
監督・主演:アナ・ケンドリック(長編初監督作品)
出演:ダニエル・ゾヴァット(ロドニー・アルカラ役)、トニー・ヘイル(司会者エド・バーク役)、ニコレット・ロビンソン、ピート・ホームズ
脚本:イアン・マカリスター・マクドナルド(2017年Black List選出作品「Rodney and Sheryl」)
公開:2023年9月8日 トロント国際映画祭プレミア上映
Netflix配信:2024年10月18日〜
ジャンル:サスペンス・スリラー / 犯罪 / 実話ベース
上映時間:約94分
Rotten Tomatoes:批評家スコア 91%
Netflix実績:配信3日間で全世界2位(1,580万時間視聴 / 990万ビュー)、米国1位

映画はどこまで実話?事実とフィクションを徹底整理

「で、結局どこまでが本当の話なの?」

映画を観た後に誰もが抱く疑問だろう。結論から言うと、大枠は完全に実話だが、映画として成立させるための脚色が細部に入っている。そしてここが重要なんだが、脚色された部分の多くは「現実を軽くした」方向の変更なんだ。つまり、現実のほうが映画よりもっと恐ろしい。

順に見ていこう。

映画の中で「実話」の部分

  • ロドニー・アルカラがデートゲームに出演した──紛れもない事実。1978年9月13日に実際に番組に出演しており、当時の映像も現存している
  • シェリル・ブラッドショーが番組でアルカラを選んだ──実在の女性(英語表記:Cheryl Bradshaw)で、実際にアルカラを「勝者」として選んだ
  • シェリルが「不気味」と感じデートを拒否した──番組後、コーディネーターのエレン・メッツガーに電話で「この人とは出かけられない。変な雰囲気が出ている。とても奇妙で、居心地が悪い」と伝えた。この直感が彼女の命を救ったと考えられている
  • アルカラの犯行手口──首を絞めて気絶→蘇生→再び絞めるを繰り返す。検察の調書に記録された事実
  • 10代の少女が逃げ出して通報した──映画のエイミーは実在のモニーク・ホイトがモデル。1979年、15歳の彼女が命がけで脱出し、通報がきっかけで逮捕に至った
  • 刑事がデートゲーム再放送でアルカラを認識した──ロビン・サムソー事件の捜査中、ハンティントンビーチの刑事が番組の再放送を視聴して容疑者と一致させた

映画のために「創作」された部分

映画として物語を成立させるために脚色された部分も少なくない。ただ、作り手の意図を知ると、なぜ変更したのかが見えてくる。

  • 観客のローラ──番組の客席にいて、アルカラが自分の友人を暴行した犯人だと気づく女性。実在しない。ただしアルカラの犯行を知りながら声を上げられなかった人々の苦悩を象徴した創作キャラクターだ
  • アルカラの出演番号──実際はBachelor #1(1番目)だったが、映画ではBachelor #3(3番目)に変更。壁の向こうから姿が見えるまでの緊張感を最大化するための演出上の判断
  • 番組の賞品──実際はテニスレッスンとロサンゼルスの遊園地マジックマウンテンのチケット。映画ではカリフォルニア州カーメルへの豪華旅行に変更
  • アルカラの職業──実際はLA Times紙の植字工(タイプセッター)。映画ではカメラマンに変更された。写真撮影は実際には趣味で、「写真で被害者に接近する」手口を際立たせるための脚色
  • シェリルの経歴──実際はアリゾナ州フェニックス在住の演劇教師。映画ではLAで女優志望としてオーディションを受けまくっている設定に変更
  • 番組後のティキバーでのデートシーン──実際にはデートは一度も実現していない。シェリルは収録直後にコーディネーターに電話してきっぱり断った
  • 駐車場でシェリルが襲われるシーン──完全なフィクション。記録上、シェリルとアルカラが番組後に接触した事実はない
  • 司会者の名前──実際はジム・ランジ。映画ではエド・バーク(架空の名前)に変更
  • シェリルが台本を書き換えるシーン──映画では台本を無視して自分の質問をぶつけるが、実際の番組映像ではシェリルは進行通りにゲームを楽しんでいた

これらの違いを一覧で整理する。

要素実話(事実)映画(脚色・創作)
デートゲーム出演事実(1978年9月13日、映像も現存)そのまま描写
シェリルがアルカラを選んだ事実そのまま描写
シェリルがデートを拒否事実(コーディネーターに電話で拒否)直接対面する形に変更
アルカラの出演番号Bachelor #1Bachelor #3に変更
番組の賞品テニスレッスン+遊園地マジックマウンテンカーメルへの豪華旅行
シェリルの職業アリゾナ州フェニックスの演劇教師女優志望
観客のローラ実在しない「無視された声」の象徴として創作
アルカラの職業LA Times植字工カメラマン
番組後のデート一度も実現せずティキバーでのデートシーンあり
駐車場での襲撃記録なし完全なフィクション
司会者の名前ジム・ランジエド・バーク(架空)
少女の脱出方法ガソリンスタンドで逃走→モーテルでカップルに保護ダイナーに逃げ込み通報
警察の到着間に合わず(母親が保釈金→釈放→さらに2人殺害)現場に駆けつけて逮捕

映画より現実のほうが恐ろしかった──知っておくべき事実

上の表を見て気づいたかもしれないが、映画で脚色された部分の多くは「現実をマイルドにした」方向の変更だ

最も衝撃的なのは、映画のクライマックス付近だろう。

映画では少女(エイミー)がダイナーに逃げ込み、警察が駆けつけてアルカラを逮捕する。ある種の「救い」がある結末だ。

だが現実は違った

実在のモニーク・ホイト(当時15歳)は、ヒッチハイク中にアルカラの車に拾われ、アパートに連れ込まれて暴行を受けた。その後カリフォルニアの山中に連れていかれ、岩で頭部を殴打された。しかし彼女は諦めなかった。アルカラがリバーサイド郡に戻る途中、ガソリンスタンドでアルカラがトイレに入った隙に車から走って逃げた。近くのモーテルに駆け込み、そこにいたカップルに保護されたんだ。15歳の少女が殺人犯を相手に、命がけの脱出を成し遂げた。

そして通報した。だがアルカラの母親が保釈金を払い、アルカラは釈放された。釈放後にさらに2人の女性を殺害した。映画ではこの部分が「警察が間に合う」形に変更されている。

つまり、映画はまだ「救い」を残しているんだ。現実には、その救いすらなかった。

さらに恐ろしい話がある。2010年の3度目の裁判で、アルカラは自ら弁護人を務めた。デートゲームの映像を法廷で再生し、被害者の母親を直接尋問した。支離滅裂な弁論を展開しながら、被害者遺族の目の前で自分の「魅力」を見せつけようとした。被害者の家族にとって、この裁判そのものが新たな地獄だっただろう。

マイ
マイ

映画のほうが「まだ控えめ」だったってことですか…?現実のほうが怖いって、ちょっと信じがたいんですけど。

ジョニー
ジョニー

だからこそ観る価値があるんだ。映画が見せてくれるのは「現実の控えめバージョン」。それでも十分に恐ろしい。そしてこの記事を読んだあなたには、その向こう側にある「本当の恐怖」が見えるはずだ。

アナ・ケンドリックが初監督に挑んだ理由──報酬は全額寄付した

『ピッチ・パーフェクト』で世界中のファンを掴んだ女優が、長編初監督に選んだのが連続殺人犯の実話スリラー。コメディでもミュージカルでもない。

正直、最初は「なぜこの題材?」と思った。だが調べるほどに、このキャスティングの必然性が見えてきた。

話は2017年に遡る。脚本家イアン・マカリスター・マクドナルドが書いた「Rodney and Sheryl」という脚本が、ハリウッドの「Black List」(業界内で高く評価された未制作脚本の年間リスト)に選出された。

2021年5月、Netflixがこの脚本を購入。監督にはクロエ・オクノが予定され、アナ・ケンドリックは主演・プロデューサーとして参加する予定だった。

ところが2022年4月、Netflixがプロジェクトから撤退。クロエ・オクノ監督も降板した。企画は宙に浮いた。

その後、2022年5月のカンヌ映画祭マルシェ・デュ・フィルム(映画見本市)で再び売りに出され、ケンドリックが監督・プロデューサー・主演の三役を担うことになった。彼女はこのとき、こう語っている。

「おそらくハリウッド史上、最も自信のないピッチだったと思う。私はニセの自信を演じることができないから」

だが、彼女がこの脚本に惹かれた理由は「面白い題材だったから」では片付かない。

ケンドリックは元交際相手からの精神的・心理的虐待(DV)を経験しており、その直後にこの脚本と出会った。2022年の映画『Alice, Darling』のプロモーションでこの体験を公にしている。

「壊滅的でトラウマ的な経験をした直後にこの脚本に出会ったことは偶然ではないと思う。映画の全てのシーンが自分自身の恐怖の反映だった」

自身のDV体験と「女性の声が無視される物語」との共鳴。それが彼女を監督の椅子に座らせた。

決心を後押ししたのは友人の一言だった。「このプロジェクト、あなたやりたいんでしょう?でもやることに抵抗してるだけじゃないの?」──この指摘が最後のひと押しになったという。

監督として最初に相談したのは、映画監督のポール・フェイグ(『ブライズメイズ』等)。彼から「tough love(厳しくも温かいアドバイス)」をもらいながら撮影を進めていった。

Rolling Stone誌のインタビューでケンドリックは本作を「自分にとって最も赤裸々な映画(most revealing film)」と表現している。コメディのスターが、だ。この言葉の重さを噛み締めてほしい。

そしてもうひとつ、俺がこの人は本物だと感じた理由がある。

アナ・ケンドリックは本作で得た報酬の全額をRAINN(強姦・虐待・近親相姦全国ネットワーク)と全米暴力犯罪被害者センターに寄付した。

理由はシンプルだ。「実話犯罪で利益を得ることに気持ち悪さを感じた」から。

映画を撮っただけじゃない。行動で示した。この事実を知った上で映画を観ると、彼女の演技と演出のひとつひとつに込められた覚悟が透けて見えるんだ。

作品は2023年9月のトロント国際映画祭でプレミア上映され、その反響の大きさからNetflixが1,100万ドル(約16億円)で配信権を再取得した。一度手放したプロジェクトを16億円で買い戻す──それだけの価値がある作品だとNetflix自身が認めたわけだ。

ハイド
ハイド

報酬全額寄付ってマジか!?しかもNetflixが16億で買い戻した…?アナ・ケンドリック、歌うまい人ってだけじゃなかったんだな…

ジョニー
ジョニー

この映画を観ると、「アナ・ケンドリック=コメディの人」という認識が完全に壊れる。表現者としての底力を思い知らされるぞ。

実話を知ってから観ると恐怖が倍増する──4つの視点

ここまで読んだあなたは、もう映画を観る準備ができている。

実話だと知った上で観ると、何も知らずに観るのとは比べものにならないほど恐怖の質が変わる。以下の4つの視点を頭に入れて、スクリーンに向かってほしい。

実話を知ると見え方が変わる4つのポイント

① アルカラの笑顔の裏にある真実
あの爽やかな笑顔の裏で、すでに何人もの命を奪っている。IQ135以上の頭脳で計算し尽くされた「演技」だと知った上で見ると、笑顔のひとつひとつが凍りつくほど怖くなる。一緒に出演したジェド・ミルズが「人生で最も不気味な男」と証言した意味がわかるはずだ。

② シェリルの「違和感」=命を救った直感
彼女の直感は正しかった。そしてその直感に従ってデートを拒否したことが、文字通り命を救った。実話だと知ると、映画のこのシーンの緊張感が別次元に跳ね上がる。

③ 周囲の無関心
異変に気づきながら見て見ぬふりをする人々。これは映画の演出じゃない。当時の社会で実際に起きていたことだ。恐怖を通り越して、怒りすら覚える。

④ 社会の構造的欠陥
女性の声が軽視される社会構造そのものが、殺人犯を野放しにした。映画のフィクションではなく、1970年代のアメリカで本当に起きていた現実。個人の狂気よりも、社会の無関心のほうがよほど恐ろしい。

フィクションのホラー映画なら、エンドロールが流れた瞬間に現実に戻れる。「怖かったね」で済む。

でもこの映画は違った。

エンドロールが流れた後も、しばらくリモコンに手が伸びなかった。暗くなった画面をぼんやり見つめたまま、「これが本当に起きたことなのか」と頭の中で何度も反芻していた。深夜のリビングが妙に静かで、自分の呼吸音だけがやけに大きく聞こえた。

それでいい。この映画は、観た後に「考え続ける」ことにこそ価値がある作品だ。

Netflixで今すぐ観られる。できれば夜、部屋の照明を落として、ひとりで。実話の重みが画面の向こうから滲み出てくるのを感じるはずだ。

よくある質問

Q
『アイズ・オン・ユー』は完全な実話ですか?
A

大枠は実話です。実在の連続殺人犯ロドニー・アルカラが1978年にテレビのデート番組に出演した事件がベースになっています。ただし一部のキャラクター(観客のローラ等)やエピソード(駐車場の襲撃シーン等)は映画のために創作されています。核心部分──殺人犯がテレビに出演し、女性が直感でデートを拒否した──は全て事実です。

Q
ロドニー・アルカラは現在どうなっていますか?
A

2021年7月24日、カリフォルニア州の病院にて死刑囚のまま自然死しました(享年77歳)。カリフォルニア州で5件の殺人について3度の死刑判決、ニューヨーク州で2件の殺人について有罪判決を受けていました。推定被害者は最大130人とされていますが、事件の全貌が解明されないまま獄中で生涯を終えました。

Q
シェリル・ブラッドショーは実在の人物ですか?
A

はい、実在の人物です(英語表記:Cheryl Bradshaw)。アリゾナ州フェニックス在住の演劇教師で、1978年のデートゲーム番組でアルカラを選びましたが、番組後に直感的に「不気味」と感じ、コーディネーターに電話してデートをきっぱり断りました。その後はカリフォルニアを離れ、プライベートな生活を送っていたとされています。アナ・ケンドリックのインタビューによると、すでに亡くなっているとのことです。

Q
映画『アイズ・オン・ユー』はどこで観られますか?
A

Netflixで独占配信中です(2024年10月18日配信開始)。Netflix会員であれば追加料金なしで視聴できます。上映時間は約94分。配信3日間で全世界2位(1,580万時間視聴)を記録した話題作です。

Q
原題は何ですか?
A

原題は『Woman of the Hour』です。デートゲーム番組で選ばれた女性を指す言葉であると同時に、「今この時代に必要な女性(の物語)」というダブルミーニングが込められています。脚本の原題は「Rodney and Sheryl」で、2017年のBlack Listに選出されました。

Q
アナ・ケンドリックはなぜこの映画を撮ったのですか?
A

元々は別の監督(クロエ・オクノ)が予定されていましたが、Netflixの撤退で企画が頓挫。ケンドリック自身が「個人的にこの脚本に共鳴した」として監督に名乗り出ました。自身のDV体験と「女性の声が無視される物語」との共鳴が原動力だったと公表しています。さらに本作の報酬は全額をRAINN等の反暴力団体に寄付しました。

まとめ──『アイズ・オン・ユー』は実話だからこそ観る価値がある

最後にもう一度、結論を言う。

映画『アイズ・オン・ユー』は実話だ。しかも、映画より現実のほうが恐ろしい。

連続殺人犯がテレビのデート番組に堂々と出演していた。カメラの前で笑顔を振りまきながら、その裏で何人もの女性の命を奪っていた。女性たちが声を上げても、社会はまともに取り合わなかった。15歳の少女が命がけで脱出し通報したのに、殺人犯は保釈されてさらに2人を殺した。

1970年代のアメリカで本当に起きたことだ。

映画はこの現実を、まだ「控えめに」描いている。それでも十分に衝撃的だ。Rotten Tomatoesで批評家スコア91%、Netflix配信3日間で全世界2位──数字が作品の力を証明している。

アナ・ケンドリックは報酬を全額、暴力被害者支援団体に寄付した。「実話犯罪で利益を得ることに気持ち悪さを感じた」から。ただ映画を撮っただけじゃない。行動で示した人だ。

この映画は「怖い映画」じゃない。「なぜ怖いことが起きたのかを考えさせる映画」だ。

実話を知った上で観ると、恐怖の質が完全に変わる。画面に映る全てが、かつて本当に起きたことの再現だと知っているから。そして「映画ですらマイルドに描いている」という事実が、現実の重みをさらに突きつけてくる。

Netflixで今すぐ観られる。

迷ってるなら、観ろ。実話を知った今のあなたの目には、まったく違う映画が映るはずだ。

ジョニー
ジョニー

94分の映画の中に、1970年代の恐怖と、2020年代の怒りが詰まっている。一度観て終わりじゃなく、実話を知った上でもう一度観てみてくれ。見えなかったものが、見えてくるから。

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