ナルトの暁は、俺の中でずっと「悪の組織」だった。
メンバーの一人ひとりをちゃんと追っていくと、その認識が変わった。弥彦の「戦争のない世界」という理念は木ノ葉隠れと同じで、手段が極端に走っただけだった。
暁は”愛情の壊れ方”の物語だった——ただし、全員ではない。
ナルト 暁 メンバー一覧|組織の目的と末路
暁の目的と三重構造
暁の創設者は弥彦だ。目的は「戦争のない世界」を作ること。しかし弥彦の死後、長門がペインとして組織を引き継ぎ、目的は月の眼計画——無限月読による幻術での世界統一へと変質した。
暁のリーダー構造は三重になっている。表のリーダーはペイン(長門)。その裏でオビトが糸を引き、さらにその裏でうちはマダラが全てを操っていた。弥彦が掲げた理念は、何重もの闇に飲み込まれていった。

弥彦の理念自体は悪じゃなかったんだよね。ペインも長門も、元々は自来也の弟子だったわけだし……。
メンバー全員の末路一覧
暁のメンバーの末路を見ていくと、全員が壮絶な最期を遂げている。ペインはナルトとの対話の末に自らの命で穢土転生を解き、デイダラは自爆。サソリはチヨバアとサクラに敗れ、イタチはサスケとの戦いで病死した。オビトは第四次大戦でカカシとナルトに敗北し、最期は仲間を守って散った。
小南はオビトとの戦いで命を落とし、鬼鮫は情報を守るために自害。大蛇丸は脱退後、最終的に光属性へ転生した。角都はナルトの螺旋手裏剣で倒され、飛段は不死身のまま奈良一族の森に生き埋めにされている。
この2人だけは愛情の物語ではない——角都と飛段は純粋に悪だった。金と殺戮が動機であり、壊れる前に何かを愛していた形跡がない。
全員が壊れていた。でも角都と飛段以外は、壊れる前に何かを愛していた。
ナルト 暁 強い順ランキング|4分類で分ける
強さランキングを語る前に——強いやつほど孤独だったのが暁だ。オビトもペインもイタチも、圧倒的な力を持ちながら、その力で守りたかったものを失っている。強さと孤独が比例する組織——それが暁の本質だった。
【S級】世界の行方を左右した2人
うちはオビト(十尾人柱力)——暁の中で最強クラス。十尾の人柱力となった時点で、五影全員+ナルト・サスケですら手が出せなかった。神威による時空間忍術は単体でも反則級だが、十尾を取り込んだ後は次元が違う。忍界大戦の戦況を一人で塗り替えた存在だ。
ペイン(長門・六道の力)——輪廻眼による六道の術で木ノ葉の里を単独で壊滅させた。神羅天征一発で里が更地になる火力は、尾獣クラスを超えている。仙人モードのナルトですら苦戦した相手だ。自来也を殺した時点で、暁の中での格が決まった。
【上位】単独で里を脅かせる3人
うちはイタチ——万華鏡写輪眼に加え、須佐能乎・月読・天照の三種の神器を持つ。不治の病に侵されながらサスケと互角以上に戦い、穢土転生で復活した際にはカブトの穢土転生そのものを解除した。病気でなければS級に入る——そう断言できる唯一のキャラクターだ。
干柿鬼鮫——尾獣級のチャクラ量を誇り、大刀・鮫肌でチャクラを吸収する。キラービー(八尾人柱力)と互角に戦った実績がある。最期は情報を守るために自害した。忠誠心の塊だった。
大蛇丸——不死に近い肉体改造と膨大な禁術の知識を持つ。三代目火影を道連れにした実力は本物だ。穢土転生を使えば歴代火影すら召喚できる。戦闘力というより「何でもできる」という底の見えなさが脅威だった。
【中位】単独でも里クラスの脅威
サソリ——傀儡百機駆で一国を落とした実績を持つ。三代目風影を傀儡にしている時点で、砂隠れの歴史を一人で書き換えた男だ。チヨバアとサクラの連携でなければ倒せなかった。
デイダラ——起爆粘土による広範囲殲滅力が異常に高い。C4カルラは細胞レベルで対象を破壊する。我愛羅を単独で捕獲した実績もある。最期の自爆(CO)は半径10kmを吹き飛ばす威力だった。
角都——五つの心臓による多属性同時攻撃が可能。初代火影・柱間と戦って生き延びた過去を持つ。単純な生存力では暁随一だ。
【下位】特化型——条件次第で上位を食う
飛段——不死身という特異体質が最大の武器。ジャシン教の呪術で相手の血を取れば確殺できるが、戦闘スピードと応用力では暁最弱。シカマルに戦術で完封された。ただし「死なない」という一点だけで脅威になれる異質な存在だ。
小南——総合力では上位に及ばないが、対オビト戦で見せた起爆札6000億枚の準備力は圧倒的だった。「準備さえあれば上位を食える」という証明をした唯一のキャラクターだ。弥彦と長門への愛がなければ、あの戦い方はできなかった。

ランキングは時期で変わる。でもこの4分類が一番しっくりくる。暁に弱いメンバーは一人もいない。下位ですら条件次第で上位を食う——そういう組織だった。
ナルト サソリ|両親の愛情を受けられなかった傀儡師
サソリの生い立ちと敗因
サソリは砂隠れの天才傀儡師だ。幼い頃に両親を亡くし、祖母チヨバアに育てられた。両親の温もりを知らないまま成長したサソリは、やがて人間の体を傀儡に変える禁術に手を染めていく。
サソリの敗因は明確だった。チヨバアとサクラとの戦いで、サソリは最後に両親の傀儡を手放せなかった。自分の体すら傀儡に変えた男が、両親の傀儡だけは壊せなかった。あの瞬間、サソリの中にまだ「愛情」が残っていたことが証明された。
愛情の欠乏が人を傀儡にする
サソリは両親の愛情を受けられなかったからこそ心が壊れ、自分自身を傀儡化した。だが壊れる前のサソリは、本質的に愛情深い人間だった。
人は愛情を受けられない時、愛情の代替物を作り続ける——サソリが傀儡を作り続けた理由はそこにある。
人間を傀儡にすれば「永遠」になる。朽ちない。離れない。サソリが求めていたのは、永遠に自分のそばにいてくれる存在だった。それは両親に求めて得られなかったものの代替だ。

傀儡を「永遠に残るもの」として作ってたのか……。そう考えると、サソリの芸術観はデイダラと真逆で切ないな。
ナルト オビト|優しさを利用された男の物語
オビトの闇堕ちの構造
オビトの闇堕ちのトリガーは、リンの死だ。しかも残酷なのは、リンはカカシを好きだったという事実がある。オビトはリンを愛し、リンはカカシを愛し、カカシはリンを守れなかった。この三角関係が、オビトの闇堕ちをより深くした。
瀕死のオビトを救ったのはマダラだった。マダラはオビトの優しさにつけ込んだ。「この世界は地獄だ」と語り、リンの死を見届けさせることで、オビトの心を完全に折った。マダラの計画に必要だったのは、強い忍ではなく「優しすぎて壊れやすい忍」だった。
「優しさを利用される側」と恋愛の自己犠牲
俺はHSP気質で、自分が損してでも相手に優しさを見せる。だからオビトがマダラの優しさにつけ込まれた気持ちがわかった。優しい人間は、相手の善意を疑えない。そこを突かれると一気に壊れる。
俺も恋愛で自分を犠牲にしてきた側だ。友人がうまくいけばいいと身を引いて、結局自分が惨めになる恋愛を何度もしてきた。相手の幸せを優先して自分を後回しにする——その繰り返しが、どれだけ人の心を削るか知っている。オビトがリンの死で壊れた気持ちが、俺にはわかる。
オビトの壊れ方は、優しさを持った人間が最も傷つく壊れ方だった。
だからこそオビトは最期、ナルトの言葉で本来の自分を取り戻せた。壊れる前の優しさが完全に消えていたわけじゃない。マダラに利用されていただけで、オビトの根っこはずっとカカシと同じチームの、あの優しい少年だった。

優しさを持ってるからこそ壊れやすい。オビトを見てると、自分の弱さと重なる部分がある。
ナルト イタチ|無償の愛の究極形——真実を知った後に泣いた
イタチの真実と「二度目の涙」体験
イタチが一番好きなキャラクターだ。うちは一族を滅ぼし、弟サスケに憎まれる道を選んだ男。両親を涙ながらに殺めるシーンは泣ける。
だが、正直に言う。俺は初見では泣かなかった。イタチの真実——うちは一族のクーデターを防ぐため、里の命令で一族を滅ぼしたという事実が判明してから見返した時に初めて泣いた。あの冷酷に見えたイタチの表情の裏にある愛情が見えた——その二度目の涙が一番深かった。
イタチは自分を憎ませることでサスケを強くしようとした。「許せサスケ……これが最後だ」と言いながら、最期にサスケの額をツンとつく。あの仕草は、幼少期にサスケにしていたものと同じだ。一族を皆殺しにした後も、死の間際でも、イタチの愛情表現は変わらなかった。
イタチが自分を憎ませることでサスケを強くしようとした——あの愛情の形をもう一度描けるキャラクターは出てこないだろう。
イタチの無償の愛と母親の無償の愛
イタチの愛情を考える時、俺はどうしても自分の母親と重ねてしまう。
思春期で荒れていた時期があった。家族に当たっていた時期もある。それでも母は見守ってくれた——不登校になっても問い詰めることなく。中学時代、学校に行けなくなった俺に、母は何も言わなかった。責めなかった。ただそばにいた。
イタチは一族を皆殺しにしても、サスケを愛し続けた。俺の母親は、荒れていた息子を見守り続けた。形は全く違う。でも「何があっても愛情を引っ込めない」という点で、イタチと母親の愛は同じだった。
不登校の時期にナルトにハマった。イタチの生き様を知って、自分を守ってくれていた母の存在に気づいた。俺にとってナルトは、ただの漫画じゃない。人生トップ3に入る作品だと断言できるのは、イタチがいたからだ。
ナルトは全キャラクターがスピンオフで描いても人気が取れる。
それくらい、一人ひとりのキャラクターに深い物語がある。イタチだけじゃない。暁のメンバーのほとんどが、それぞれの「愛情の壊れ方」を持っている。

イタチの「おでこツン」が幼少期と同じだったって気づいた時、本当に泣いた……。あれは言葉にできない愛情だよね。
ナルト 大蛇丸|暁最大の闇から光へ転生した男
大蛇丸の変遷
大蛇丸は暁の元メンバーだ。木ノ葉隠れの三忍の一人でありながら、不老不死を求めて里を抜け、暁に加入した。しかしイタチの体を乗っ取ろうとして返り討ちに遭い、脱退している。
その後はサスケの体を狙い、音隠れの里を作り、三代目火影を殺害。ナルト本編では最大級の敵として描かれた。しかし第四次忍界大戦では穢土転生で歴代火影を蘇らせ、最終的に連合軍側につく。大蛇丸ほど立ち位置が変わったキャラクターはいない。
「まさかこいつが光側に」——驚きと伏線の発見
大蛇丸がボルトで光側になった時、「まさかこいつが」と思った。三代目を殺し、サスケを誘惑し、人体実験を繰り返した男が、ミツキという「息子」を作り、穏やかに暮らしている。純粋に驚いた。
だが振り返ると、大蛇丸は「人間への執着」を捨てたことがなかった。不老不死を求めたのも、人間の可能性に興味があったからだ。サスケの成長を見届けたいと語った時点で、大蛇丸の中の光は消えていなかった。
大蛇丸の光属性転生は、「闇に終わらない物語」の証明だ。
暁の中で唯一、闇から完全に光へ転じたキャラクターが大蛇丸だった。それは「壊れた人間でも戻れる」という希望でもある。俺が大蛇丸をトップ3に好きな理由は、この変化の説得力にある。
よくある質問(FAQ)
まとめ|暁は”愛情の壊れ方”の物語——ただし全員ではない
暁というのは、ただの悪の組織ではなかった。サソリは両親の愛を求めて傀儡を作り続け、オビトはリンへの愛を失って世界を否定し、イタチはサスケへの愛を守るために悪役を演じ続けた。大蛇丸は人間への執着を捨てきれず、最終的に光へ戻った。
角都と飛段は純粋に悪だった。だがそれ以外の暁メンバーは、全員が愛情深い人間だった。壊れ方が違うだけだ。
ナルトがペインと対話できたのは、同じ師の弟子として、その壊れ方を理解していたからだ。自来也という師匠を共有した二人だからこそ、言葉が届いた。暁の物語は、愛情の壊れ方と、そこからの再生の物語でもある。
俺にとってナルトは人生を変えた作品だ。中学時代にこの作品と出会っていなかったら、今の自分はいない。NARUTOはU-NEXTの31日間無料トライアルで全話視聴できるから、暁メンバーの「愛情の壊れ方」を、一人ずつ追いかけてほしい。


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